『節分草』
季節に敏感に反応する植物を、人々は古くから暦にちなんだ名前で呼びました。節分草(セツブンソウ)もその一つで、2月の節分頃から咲き始めることから、このように名付けられました。春の短い間だけ姿を現すことから「春の妖精」とも呼ばれます。2センチ程の白くて可愛らしい花の姿にふさわしい呼び名ですね。主に山里の日陰や砂利のある石灰岩地などを好んで咲くので、山歩きなどで見かけます。春先には、節分草を目当てに山を散策する人も多いようですよ。 ぱっと目に入る白い花びらのような部分は実は「ガク」で、花は小さな黄色の蜜腺に変化しています。積もった枯れ草からひっそりと顔を出して咲きますが、花の盛りの時期には、山の斜面一帯が真っ白な花に覆われ、雪がふり積もったかのような美しい景色になる場所もあるそうです。 節分草のような山野草を育てるのは難しいのですが、庭造りに取り入れると春の芽吹きを感じる風情ある庭になるでしょう。 といっても、山に自生しているものを持ち帰るのはやめましょう。採取が禁止されている場所もあるので、うっかり採ると処罰されることがあります。 山歩きの途中、道端でガーデニング用の植物が売られているお店などで購入するとよいでしょう。 |
『葉牡丹(はぼたん)』
葉ボタンは別名を花キャベツともいいます。江戸時代にオランダからやってきたケール(キャベツの原種)を日本人が観賞用に改良してできました。最近はさらに品種改良が進み、茎が長く小振りのものがフラワーアレンジメントにも使われています。成長する時の温度によって葉の色が決まるため、外側の葉は濃い緑色で、内側になるにつれて白やピンクに色が変わりグラデーションをつくります。気温が下がるほど、発色がいいのだとか。厳しい冬の寒さこそが葉ボタンを美しく変身させるのですね。 葉がしおれる頃に春の花と植え替えるのが普通ですが、土や肥料に気を遣いながらそのまま育てると、春には菜の花に似たかわいい花をつけます。その花が終わったあとに茎が伸び、枝分かれした先に芽がついて、冬には一株にいくつもの葉ボタンがついた「踊り葉ボタン」を楽しめます。 さてこの葉ボタン、なんとアメリカでは食用にするのだとか。食べたことのある人によると、肉厚で固いので生食よりも揚げたり炒めたりしたほうがおいしいそうです。キャベツよりも栄養価が高いという話もありますが、どんな味がするのでしょうね。(日本では園芸用として販売されていますので、有毒な農薬が葉に残っている危険があります) |
『シクラメン』
シクラメンの鉢植えが、街の花屋さんに並んでいますね。シクラメンの花言葉は「はにかみ・恥ずかしがり屋・切ない愛を受けてください」など控えめな言葉が多いようです。その一方で「嫉妬・猜疑心」という言葉もあり、うつむいた花の姿をどう受け止めるかは、見る人の気持ちによってずいぶん違うのがわかります。シクラメンには和名が二つあります。花から連想される「篝火花(かがりびばな)」と、もう一つは「豚の饅頭」。シクラメンの球根にはでんぷんが多く含まれていて、大航海時代に南アメリカからジャガイモが渡ってくるまで、ヨーロッパでは食用にされていたそうです。その後もしばらく豚のエサに使われていたとか。シクラメンの丸い球根がちょうどパンに似ていて、「豚のパン(sow bread)」という英名があります。その和訳が「豚の饅頭」というわけですが、可憐な花からは想像もつきませんね。 シクラメンの原種にはほのかな芳香がありましたが、花びらの色や形、花の大きさなど改良を重ねるなかで、その香りがなくなってしまったそうです。しかし1970年代に「シクラメンのかほり」という歌がヒットしたのをきっかけに研究されて、今では新種の美しい花と原種の香りをともに備えたシクラメンが売られています。 |
『柊(ひいらぎ)』
冷たく澄んだ空気にのって、キンモクセイに似た柔らかい花の香りが漂ってきたら、モクセイ科の柊(ヒイラギ)の花が咲いているのかもしれません。葉の陰で白い花は、小さく控えめな姿で房になって咲いています。クリスマスにつき物の、赤い実をつけるモチノキ科のセイヨウヒイラギと葉の形が良く似ていていますが、モクセイ科のヒイラギの実は小さくて黒く、残念ながら観賞用にはあまり向かないようです。 硬くて光沢のある葉の輪郭は、ギザギザで鋭いトゲがあります。触ると「ひいらぐ(=ひりひりと痛くなる)」ことから、ヒイラギと名づけられたとか。そのトゲが邪気を防ぐと古くから信じられ、人々は庭木にしたり、節分には鬼を払うために、臭いイワシの頭と一緒に戸口に挿したりしてきました。今も、門口や庭にヒイラギを植える家は多いようです。 年月につれて、葉を縁取るトゲは少なく丸くなり、老木になると葉そのものがすっかり丸くなってしまいます。しかし剪定したところから新しく出てくる葉には、やはり鋭いトゲがあるそうです。 年齢とともに角が丸くなりつつも、刺激を受けて若々しい感性を発揮する…人も見習いたいものですね。 |
『コスモス』
「秋桜」と書いて「コスモス」と読ませることがありますが、明治時代にメキシコからこの花が入ってきたときは文字通り「あきざくら」と呼ばれました。秋に咲くことと、花びらの形が桜に似ていることからこう名づけられたといいます。「コスモス」はギリシャ語で「調和・秩序・美しい」という意味です。その名のとおり、細長い花びらが中心からバランスよく広がったコスモスの花の魅力は、自然が生み出す調和の美でしょう。コスモスをシンボルフラワーにしている市町村が100カ所ほどもあるのは、きっと調和を大切にする気持ちの現れですね。 この季節、全国各地でコスモス畑を楽しめます。風にたおやかに揺れる一面の花は、遠目に見るとどこかはかなげな雰囲気がありますが、近づくとその茎は意外と太く、背の高いものでは「幹」と呼びたくなるほどしっかりとしています。水はけと日当たりさえ良ければ痩せた荒地でも良く育ち、台風などで茎が倒れたとしてもそこから根を出し枝を伸ばして花を咲かせます。 「乙女の真心」「愛情」という花言葉は、踏みにじられても負けずに、最後には凛と胸をはるコスモスの様子を見事に表していますね。 |
『風船葛(ふうせんかずら)』
秋の初めに姿を見せる、風船型の実が大きな特徴のフウセンカズラ(風船葛)。見るからに和の雰囲気ですが、意外にも原産は北アメリカなんだそうです。ふっくらと膨らんだ実はホオヅキに似ていますが、色はオレンジ色ではなく明るい緑色で、「緑の紙風船」といった感じです。 「カズラ」の名のとおりツル性なので、今話題の壁面緑化「緑のカーテン」に使われ、夏にも活躍してくれる植物です。鮮やかな真夏の花たちの中でけなげに咲く、小さな可愛らしい白い花と、葉のやわらかな緑は見る人を癒してくれます。 風船のような外見だけでなく、種もちょっと変わっています。黒くて丸い種に、白いハートをペタっと貼り付けたような、何とも可愛らしい姿なので、英語では 「ハートの豆(heart pea)」とも呼ばれています。 フウセンカズラの花言葉は「あなたと飛び立ちたい」。秋の風に吹かれて揺れる緑の風船を楽しんだあとは、ハート模様の種を集めて大切な人に送ってみるのもお洒落ですね。種にどんな思いを込めましょうか。 |
季節に敏感に反応する植物を、人々は古くから暦にちなんだ名前で呼びました。節分草(セツブンソウ)もその一つで、2月の節分頃から咲き始めることから、このように名付けられました。
葉ボタンは別名を花キャベツともいいます。江戸時代にオランダからやってきたケール(キャベツの原種)を日本人が観賞用に改良してできました。最近はさらに品種改良が進み、茎が長く小振りのものがフラワーアレンジメントにも使われています。
シクラメンの鉢植えが、街の花屋さんに並んでいますね。シクラメンの花言葉は「はにかみ・恥ずかしがり屋・切ない愛を受けてください」など控えめな言葉が多いようです。その一方で「嫉妬・猜疑心」という言葉もあり、うつむいた花の姿をどう受け止めるかは、見る人の気持ちによってずいぶん違うのがわかります。
冷たく澄んだ空気にのって、キンモクセイに似た柔らかい花の香りが漂ってきたら、モクセイ科の柊(ヒイラギ)の花が咲いているのかもしれません。葉の陰で白い花は、小さく控えめな姿で房になって咲いています。
「秋桜」と書いて「コスモス」と読ませることがありますが、明治時代にメキシコからこの花が入ってきたときは文字通り「あきざくら」と呼ばれました。秋に咲くことと、花びらの形が桜に似ていることからこう名づけられたといいます。
秋の初めに姿を見せる、風船型の実が大きな特徴のフウセンカズラ(風船葛)。見るからに和の雰囲気ですが、意外にも原産は北アメリカなんだそうです。