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『半夏生』

 暦の上では夏至から11日目を「半夏生」といい、「雑節(ざっせつ)」(季節の変化の目安となる日の総称)の一つです。この頃になると山の水辺などで、ひも状の白い花を中心に一部の葉の表面だけが白くなっている植物を見かけます。
これが「半夏生」。別名を「片白草」(かたしろぐさ)とも言います。
「半夏生の時期に咲くから」「半分しかお化粧をしていない(半化粧)ように見えるから」など、不思議な名前の由来は想像力をかきたてますね。
勝手に想像をたくましくしてみるとこんな感じでしょうか。
 ――そのむかし、賑わいを見せていた花街で、夕刻になると鏡の前に座って身支度を始めた花魁(おいらん)か舞妓さんが、おしろいを半分ぬったところで、ふと用事を思い出して立ち上がる……。
半分だけ白塗りされた襟足はさぞかし艶やかだったことでしょう。
一見地味な花なのに何故か目を奪われてしまう半夏生の姿に重なります。
 不思議なことに、白くなった葉は、花が枯れるとおしろいがはげるように元の緑色に戻るそうです。また、半夏生は昆虫によって花粉が運ばれる虫媒花です。
花期になると葉が白くなるのは、目立たない花の代わりに白い葉で虫を誘うためだとか。
 虫だけでなく、人の視線も誘う半夏生。やはり、どこか花街を思い出させる植物ですね。

 

 

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