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『鳳仙花』 (ホウセンカ)

  真夏の庭に咲く花の代表として親しまれている鳳仙花。熟した実に触れると勢いよく種が飛び散ることから、英語の属名は 「touch me not」(私に触れないで)。そのまま花言葉にもなっています。
別名は「爪紅」(ツマベニ、ツマクレナイ)。
そのむかし、子どもたちが鳳仙花の花で爪を染めたり色水を作ったりしたからだそうです。
子どもの頃、同じことをして遊んだ記憶のある人も多いでしょう。
 もう一つ、「骨抜き」(ホネヌキ)という名前もあります。 中国の古い書物によれば、鳳仙花の種と一緒に魚や肉を煮るとやわらかくなり、骨から身が離れやすくなるそうで、それに由来しているとか。
また、種を飲めばのどに刺さった魚の骨が取れるという迷信からきているとの説もあります。
さらに沖縄では「てぃんさぐぬ花」という美しい名で呼ばれ、「ホウセンカは爪先を染めなさい。親の教えは心に染めなさい」という内容の歌にもなっています。
 お盆が過ぎると夏は急ぎ足で帰り支度を始めます。
朝夕がひんやりとし、空や雲の様子にも少しずつ勢いがなくなり、季節が確実に移り行く様を肌身で感じます。 鳳仙花の実がパンッと弾ける姿に夏の思い出を重ね、過ぎ行く夏を惜しみつつ、来る秋に想いをはせる。鳳仙花には、懐かしさと惜別がよく似合います。

降り足らぬ 砂地の雨や 鳳仙花  (杉田久女)

 

 

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