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『彼岸花』

 残暑の中にも秋の気配が漂い、空気がひんやりしはじめるお彼岸の頃、火のように真っ赤な彼岸花が咲きます。別名は「天上の花」を意味する「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」。おめでたい事が起こる兆しに赤い花が天から降ってくる、という仏教の経典に由来します。
 彼岸花はなんとも不思議な花です。秋の始まりに突然茎だけが伸び、色鮮やかな花を咲かせたかと思うと、一週間くらいで枯れてしまいます。そのあと、今度は葉っぱが伸びますが、その葉っぱは、冬から春を越して夏近くなると消えてしまいます。つまり彼岸花は、花と葉っぱを同時に見ることができないのです。  このことから、韓国では彼岸花のことを「サンチョ(相思華)」と呼ぶそうです。相思とはお互いを恋しく思い合うことで、「花は葉を思い、葉は花を思う」という意味なのだとか。彼岸花の、燃え盛るような情熱の赤にふさわしい逸話だと思いませんか?

 さて、美しいものには棘(とげ)があると言われますね。彼岸花の球根や茎には毒があります。小さい頃、親に「彼岸花を取ってくると家が火事になる」と叱られた記憶はありませんか? 
これは、彼岸花の毒に触らないようにという親心だったのかもしれませんね。

彼岸花忌みてはみれど美しく 河野南畦

 

 

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