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『沈丁花(じんちょうげ)』

 まだ寒さの残る早春に、本格的な春を告げるように芳香を漂わせる沈丁花。「沈香(じんこう)」と「丁字(ちょうじ)」の二つの香りを併せ持つところから付いた名前だそうです。もともとは中国原産で、日本へ渡ったのは室町時代だとか。中国名は瑞香(ずいこう)。沈丁花は日本名です。
 また、花の香りが千里の彼方までも届くということで、「千里花」とも呼ばれます。地味な花なので見落としがちですが、香りを追いかけていけば咲いている場所へたどり着くことでしょう。
その香りが、姿よりも先に花の存在を知らせてくれるはずです。
 沈丁花の花芽は前年の12月頃からできており、それから咲き出すまでの約3ヶ月は寒い中でじっと耐えています。あれほどの強い香りをまき散らすのは、やっと訪れた春を喜んでいるせいかもしれませんね。 
 ただし、あまりにも独特で強い芳香のためか、茶の湯では禁花とされているそうです。いくら香り高いお茶でも、沈丁花の個性的な香りには負けてしまうか、ケンカしてしまうのでしょう。

 『沈丁花 いまだは咲かぬ 葉がくれの くれなゐ蕾(つぼみ) 匂ひこぼるる』
                                           (若山牧水)

 

 

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