『昼顔』
気がつくとあたり一面緑が濃くなって、新緑に負けないくらいの花が咲き、なんともにぎやかでまぶしいと思ったら、どうやら五月は一年で一番花の数が多い月だそうです。しかしその花々のほとんどが六月には散ってゆくなか、「昼顔」は秋まで咲き続けます。同じく名前に「顔」がつく「朝顔」は観賞用として親しまれ、全国各地で「朝顔市」まで開かれますが、昼顔は似たような花でありながらも雑草の扱いです。朝顔は種から育つ花であり、昼顔は種ができずに地下茎で繁殖する野草なのです。 晩春から秋までの長い間、昼間に咲いて夕方にしぼむを繰り返す生命力。ほかの草や柵にくるくると絡みつき、真夏でも涼しい顔で風に吹かれるその風情。昼顔はどこか、誇り高き雑草の姫を思わせます。 『放浪記』で有名な女流作家の林芙美子は自由奔放に生きたイメージがありますが、その実は貧困や孤独との闘いでした。 繊細で正直で、勝気な女性だったのでしょう。彼女がもし昼顔のような人だったら、あの有名な言葉、 花の命は短くて、 苦しきことのみ多かりき は生まれていなかったかもしれません。 |
気がつくとあたり一面緑が濃くなって、新緑に負けないくらいの花が咲き、なんともにぎやかでまぶしいと思ったら、どうやら五月は一年で一番花の数が多い月だそうです。しかしその花々のほとんどが六月には散ってゆくなか、「昼顔」は秋まで咲き続けます。